自賠責保険において、後遺障害等級に認定されるとどのような効果があるのか、説明したいと思います。

後遺障害慰謝料・逸失利益の算出根拠

第一に、後遺障害部分の損害としての①後遺障害慰謝料と②逸失利益を算出する有力な根拠となります。

1.後遺障害慰謝料=後遺障害が残存した事による精神的慰謝料
  自賠責保険基準・任意保険基準・裁判(弁護士)基準があります。

2.逸失利益=労働能力喪失による経済的損失
  計算式は次の通りです

  基礎収入(年収等) × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

あくまで参考ですが、むち打ち症で後遺障害14級が認定された専業主婦の後遺障害部分の損害を、いわゆる「赤い本」基準(裁判(弁護士)基準)で計算すると次の通りになるとされます。

逸失利益:3,432,500円(※1)×5%(※2)×4.3295(※3)=743,050円
後遺障害慰謝料:1,100,000円
合計:1,843,050円(自賠責保険における後遺障害14級の保険金額75万円を含む)

(※1)賃金センサス平成18年第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均賃金額
(※2)後遺障害14級の労働能力喪失率
(※3)5年に対応するライプニッツ係数。ライプニッツ係数とは中間利息を控除する係数。むち打ち症で後遺障害14級の場合5年以下に制限される事が多いといわれています。

自賠責の限度額の先取り

第二に、後遺障害部分の賠償の内、自賠責保険金を先取りする事もできます。
被害者請求の場合は、等級認定されると自賠責保険金が指定口座に振り込まれます。
自賠責保険金は、示談をする事なく、先に受け取る事が可能という事です。
自賠責保険金は、後遺障害等級によって異なります。
14級は75万円、12級は224万円という具合です。自賠責の限度額は120万円というはなしを聞いたことがある方は多いと思いますが、こちらは傷害(ケガ)の部分の限度額です。
実はこの先取りできるというメリットは、非常に役に立ちます。
先立つものがなくて弁護士に依頼できないという人も、自賠責保険金を先取りする事で、着手金を用立てる事ができ、差額の請求を弁護士に依頼する事もできるという事です。

各種保険金・共済金の請求

第三に、後遺障害等級に認定される事により、自身の乗っていた自動車に付帯されている搭乗者傷害保険の後遺障害保険金等、各種の後遺障害にかかる傷害保険金、共済金を請求できます。
搭乗者傷害保険については、入・通院部分の保険金請求を忘れる事は少ないのですが、後遺障害部分については、事故から時間が経っている為、忘れてしまう事が多いものです。
1,000万円の掛け金の場合、後遺障害12級認定で10%、つまり100万円が請求できます。
その他、入・通院の費用を目的に加入した共済等も、後遺障害部分の請求忘れが意外と多いものです。
後遺障害等級に認定されたら、いろいろな証券を見る事を忘れないで下さい。